めざせ!特許で一攫千金
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めざ特

Author:めざ特
某大学を卒業後、超有名メーカーに就職。
数年後、某特許事務所に転職。
10年以上、特許明細書、意見書などの作成業務に従事した後、退所。
現在に至る。

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商品化しない方がいい
 前回、特許が他の特許が侵害することがあるという話をしました。だから、取得した特許を商品化したら、他者から「特許侵害だ」と言われて生産停止に追い込まれたり、莫大な損害賠償金を取られたりするかもしれません。

 たとえ実施契約を結ぶことに成功しても、実施料をとられます。貴方の特許を別の他社が実施してくれて、それによる実施料をもらったとしても、自分が払う分と相殺されたりひどい場合はマイナスになったりします。だから当ブログでは


自分では商品化せず、他社に商品化してもらい、

そのロイヤリティをもらう


ことをお勧めします。これなら実施料が入ってくる一方なので、マイナスになる心配がありません。最悪でもゼロです。それに、他社の方が製品化も販売も、上手い可能性が高いです。なお、自分の特許が他の特許の一部になっているというだけでは侵害になりません。それを業として実施(生産や販売など)しなければ、何も請求されませんのでご安心を。


特許で独占できるのは『実施しても他の特許を

侵害しない場合だけ』だとすれば、自社製品の

特許をとる意味はないのか?


という疑問があるかもしれません。答えはNOです。特許法第92条第1項に、このような場合には通常実施権の許諾について協議を求めることができると定められているからです。この協議が成立しない場合には特許庁長官に裁定を請求することができます(同条第3項)。

 特許権者に「ロイヤリティを払うから実施させてくれ」と頼んでも実施契約を結んでくれるとは限りません。「わが社が独占するために、お前には実施権を与えない」と意地悪するかもしれません。こうした場合でも「自分の発明が特許されていれば、半ば強制的に通常実施権をもらえる」というのが上記条文です。だから特許を取得する意味はあるのです。

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拒絶理由ではない
 前回、拒絶理由の話が少し出てきました。いい機会ですので、拒絶理由を別の見方をしましょう。今までは「こんな拒絶理由がある」とか「この拒絶理由に該当する」とか書いてきましたが、今日は拒絶理由に挙げられていないことに着目します。

「そんなものを取り上げてどうする?」という意見も有るでしょうが、実は、多くの素人さんが勝手に「拒絶理由だ」と決め付けている事項があるのです。それは

実施すると他人の特許を侵害する

です。だから、「特許庁の審査をパスすれば、誰からも文句を言われることなく自由に生産や販売をすることができる」と考えてしまうのです。

 でも、思い出してください。8/17の記事に書いた拒絶理由の中に「実施すると他人の特許を侵害する」はありません。

 つまり、実施すれば他人の特許を侵害する発明でも、特許を取得できるのです。実際、特許法第72条には・・・

「特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その特許発明がその特許出願の日前の出願に係る他人の特許発明、登録実用新案若しくは登録意匠若しくはこれに類似する意匠を利用するものであるとき、又はその特許権がその特許出願の日前の出願に係る他人の意匠権若しくは商標権と抵触するときは、業としてその特許発明の実施をすることができない。」

 とあります。特許以外の権利を省略して簡略化すると、「特許を取得した人(特許権者)でも、その特許が他人の特許を侵害するようなものであるときには実施ができない」ということです。実施するには「他人の特許」の実施権が必要です。

 これが、前回も言いました「自ら商品化せずに、メーカーに商品化してもらおう」という当ブログの方針と関連してきます。詳しくは次回。

[READ MORE...]
特許の欠点
 これまでで特許出願の重要な点をほぼおさえることができました。今回からはおさらいも兼ね、何回かに分けて、発明者が心の留めておいた方がいい事項について説明します。

 今回は「特許の欠点」について。これに関しては色々な意見があるでしょうが、私が考える最大の欠点は、

特許権が消滅すれば誰でも実施できる

ことです。特許を取得すれば、特許が消滅するまでの間、その特許を独占的に実施することができます。これは逆に言うと特許権が消滅すれば特許権者の許可を得ることなく実施できるということです。


明細書にノウハウを書くのをやめればいい

という人がいるかもしれませんが、これはダメです。8/17の記事に書いた拒絶理由の中に

>11.当業者が実施できる程度に書かれていない

というものがありました。ノウハウを書かないと、これに引っかかるのです。

 ノウハウを書いて、特許権を取得できればまだいいのですが、これに失敗すると、ノウハウは公開公報に載ってしまうは、独占的に実施はできないは、出願費用はかかったはで踏んだり蹴ったりです。

 発生した特許権は出願から20年経過すると消滅します(延長登録は考えないものとします)。 一方、特許出願をせず、製造のノウハウなどを完全に秘密にすれば永遠に独占できます。

 だから「私が商品化しても、絶対に他社はマネができない」という自信があるなら、特許出願しない方がいいのです。現実問題として、絶対にマネできないなんてことは、まずないでしょう。だから特許出願するのです。

 ただし次のような手はあります。例えば、ある半導体の歩留まりが20%だったとします。これを50%に引き上げる製造法を貴方が発明したとしましょう。更に研究を進めてこれを改良し、90%にまで高めることに成功したとします。

 そこで「歩留まりを50%まで引き上げる方法」を特許出願し「90%まで引き上げる方法」は秘密にします。 50%まで引き上げるノウハウは公開することになりますが、90%との差が生み利益は、他社が自力でこの方法を開発するまでの間、とりあえず独占できます。

 なお、当ブログの目的は一攫千金です。以前にも言いましたが、自分の発明をメーカーに商品化して販売してもらい、そのロイヤリティをもらうことをお勧めします。だからノウハウを秘密にする必要はありません(というより秘密にしてはいけません)。上記した特許の欠点は気にかけずに明細書をしっかりと書きましょう。

強く書こう (6)
 今回は出願時の書類の書き方に戻ります。

「広く書こう」のシリーズで言うべきだったかもしれませんが、広く書こうとするあまり、記載が不明瞭になってしまう場合があります。これについて幾つか注意します。

[請求の範囲に使うべきではない言葉]

  所定の~  ~等  約~

 これらの言葉が請求の範囲に用いられていると、それだけで「不明瞭」と言ってくる審査官がいます。ですからこれらの言葉を使うのは控えましょう。

【請求項1】 所定の記憶装置から所定のデータを取り出し所定の条件が成立した場合に、所定の処理を行い・・・

 これはひど過ぎるにしても、これに近い請求の範囲を書けと言う大企業がいます。広く書こうという方針・意気込みはいいのですが、これは抽象的過ぎます。

 どうしても使いたければ、それ(例えば「所定の条件」)はどういう意味かをしっかり説明しましょう。私のお勧めは「所定の」の代わりに「予め定められた」を用いることです。広辞苑で「所定」を引くと「定められた」と書いてあります。

 同時に定めたり後で定めたりすることは実質不可能なので、「予め定められた」は結局「所定の」と言っているのと同じです。しかし審査官の中には「所定の」を「何らかの」と同義語くらいに思っている人がいるので「所定の」を避けることに意味は有るのです。(念のため「予め定められた」とはどういう意味かも明細書で説明しておきましょう)

 「等」を使いたくなった場合は、上位概念語やその代表となる語を使い、その意味を明細書で説明しましょう。以前「定義」で説明したように通常、意味するところよりも広い意味にしても構いません。「本発明では、かくかくしかじかの意味とする」と明細書にしっかり書いておくことが重要です。

 「約」の後には数字が付くのでしょう。数値限定という請求の範囲の書き方があるので数字を使うのは悪くないのですが、範囲が狭くなりがちなので私は面白みを感じません。 それに、従来品が持っていた部材の個数を変化させただけでは設計変更程度だ(進歩性なし)といわれる可能性が高いです。 本発明において、本当にその数値は重要ですか? もう一度、検討してみてください。
 
強く書こう (5)
 進歩性無しの拒絶理由が通知された場合の意見書の書き方についても見ておきましょう。これについては8/22の記事でも簡単に言いましたが、ここではより強力に書く方法を紹介します。

 以前の記事では「(出願の時点では)本発明だけが有する有利な効果」を主張すればいいと言いました。これが進歩性の審査基準だからです。しかし残念なことに、これを無視する審査官がいるのです。

 「審査基準は目安であって義務ではないから、こんな審査官がいても仕方がない」と言えばそれまでですが、じゃあ何のために審査基準があるのかと言いたくなります。意見書では「これを拒絶すれば、自分は審査基準に反した審査をすることになる」と認識させるような書き方をしましょう。

 そのために効果を強調しましょう。大げさに書くということではなく、効果の部分を「」でくくったり、アンダーラインを引いたり、前後で改行してセンタリングしたりして、とにかく目立たせます。

 そして「この効果を奏する技術が、本発明の出願前からあったというならそれを持って来い!」くらいの勢いで書きます。ただし文章は「です・ます調」で書きましょう。心証もありますから。

 なお、そんな技術が本当にあった(未解決だと思っていたのは自分の勘違いだった)場合は、すんなり諦めましょう。請求項1がだめなら請求項2で進歩性を主張できないか、等と検討しましょう。審査官は、請求項1に進歩性が無いというだけで「請求の範囲全体に進歩性が無い」といってくることがよくあります。ですからこの検討は結構有効です。あきらめずにがんばりましょう。

 こうした場合、請求の範囲や明細書の補正をすることになります。この補正に限りませんが、補正をするなら、その補正が「出願当初のどの記載に基くものか」(補正の根拠)を意見書で説明しましょう。補正は出願時の記載の範囲内で行なう必要があります。これから外れると「不適法な補正」という新たな拒絶理由が生じてしまいます。

 嘆かわしいことに、補正の根拠を示さないと、ろくに検討もせずに「これは不適法な補正に違いない」と考え「不適法な補正」を通知する審査官が大勢います。これについては、またいつか詳しく説明します。

本日のまとめ


 効果は強調しよう

 補正をするなら補正の根拠を示そう

 
強く書こう (4)
 前回、用語などの説明に替えて、文献を引用すると書類の作成が簡単になることを説明しました。(個人発明家には関係ありませんが)他社の公報を引用するのを嫌がる企業が多いです。気持ちは分かりますが、他社の公報を引用することには大きなメリットがあります。

 例えば御社をA社とし、ある技術事項に関して競合他社であるB社の公報を引用するとします。すると、B社はその技術事項について「不明瞭だ」と無効審判を請求したり情報提供(特許の取得前に、その出願発明の特許性を否定する証拠を提出する手続)をしたりできなくなります。すれば、「私の会社の特許出願の内容も不明瞭だ」ということになりますから。

 だからB社だけでなく、C社とD社の公報も引用すれば、C社もD社も無効審判の請求などをしにくくなります。D社が「わが社の公報は明瞭に記載されているが、B社の公報もC社の公報も不明瞭だから本発明は不明瞭だ」という主張をしても、これは成立しません。引用した文献の中に一つでも明瞭な文献があれば、その技術事項は不明瞭ではないことになるからです。

 引用をせずとも、一から説明すればいい

という人がいるかもしれません。しかし、これでは他社から情報提供などの総攻撃を受けて「不明瞭だ」という予断が形成され、最終的に拒絶の審決が出る可能性があります。

 「他社の公報と同程度の書き方をしておけば引用をしなくても大丈夫」という考え方も有りそうですが、私は引用をお勧めします。なぜなら、拒絶理由通知などを受けた後で「こんな書き方なら特許XXXXXXX号にもある。本発明の記載が不明瞭ということは、特許XXXXXXX号には無効理由があるということだぞ」と言っても、審査官の中には「それはそれ、これはこれ」と言ってのける人がいるからです。こんな審査のどこが公正なんだと言いたいところですが、審査官はお役人ですから、自分の認定が間違っていたことを認めるのは嫌なのでしょう。だから「拒絶される前に言っておく(引用する)」のが重要なのです。

 理想的には、競合他社の特許公報を引用することです。これなら他社も特許庁も「不明瞭だ」とか「特許性がない」とか言いにくくなります。

 個人発明家なら他社とか自社とかは関係ないので、どんどん引用しましょう。

[READ MORE...]
強く書こう (3)
 構成要件との対応関係に次いで、審査官がよく言ってくる記載不備に「不明瞭だ」があります。中には、何の恨みがあるのかと思ってしまうほど、他愛の無いことを「不明瞭だ」と言ってくる審査官がいます。

 また、それが意味するところが明らかだと思う語でも、念のために説明をしておきましょう。例えば、二通りの意味がある用語を使った場合、それだけで「○○がA、Bどちらの意味か分からないから不明瞭だ」と言う審査官がいます。

 こういう場合を想定し、「発明の効果を奏する方の意味だ」ということを書くべきです。どちらに解釈しても構わなければ、その旨も書いておきましょう。例えば「○○がAであってもBであっても本発明が解決しようとしている課題を解決できる」と書いておきましょう。

 また、請求の範囲などに、一般的ではない言葉を使った場合は、その定義を書かなければいけません。 この「定義」を利用して、一般的な用語の概念を広げることもできます。例えば「ここで『入力装置』としてはコンピュータネットワークを介してデータの入力を受けるものでも良い」とか「本明細書において『多角形』とは三角形や四角形も含む」と書いてもいいのです。

 こうして説明ばかりしていると書類の作成が大変です。そこで用語、構成方法、製造手法などについて、その説明のある文献を引用すると楽になります。引用と言っても記事のコピー&ペーストするのではなく、「○○については文献△△のp.276を参照されたい。」とか「~~については特開平XX-XXXXXX号公報に詳しいので、ここでは省略する。」と書いておけばいいのです。

 この場合、示す文献は公開公報よりも特許公報の方が理想的です。特許公報は特許庁の審査をパスしたものですから、建前上、その中に拒絶理由は無いはずです。さすがの審査官も「特許公報を読んでも不明瞭である」とは言いにくいでしょう。言えば誰か(自分かもしれない)の審査・審理にケチを付けたことになってしまいます。
 
強く書こう (2)
 前回、構成要件と「詳細な説明」の構成の対応関係を書くといいと言いました。

そんなことをしなくても、請求の範囲と

詳細な説明で名称を統一すればいい


という人もいそうですが、これは賛成できません。

 まず「請求の範囲」の記載を「詳細な説明」に揃える(例えば、弾性部材と書かずにコイルばねに統一する。以下、これにならいます)と、コイルばねに限定されるので、権利範囲が狭くなってしまいます。
 また、詳細な説明に「コイルばねを板ばねに替えてもいい」と書くと、これは請求の範囲に反した記載をしたことになるので、拒絶理由になります。この場合、補正により請求の範囲のコイルばねを板ばねにしたり、板ばねを加えたりすることも基本的にできません。「コイルばねを用いる」と請求の範囲に書いてしまったのですから。

 逆に、「詳細な説明」の記載を「請求の範囲」に揃える(例えば弾性部材に統一する)と、「弾性部材は何を指すのか」という問題が発生します。以前説明したように弾性部材の外延をいろいろ書こうとすると、「弾性部材として板ばねやスポンジを用いても良い」等と書くことになるでしょう。これでは弾性部材が、コイルばねという外延と、板ばねやスポンジの上位概念とを兼ねた不思議な言葉になります(下図)。「外延が不明である」という拒絶理由を通知する審査官もいます。

20070920162919.gif


 こんなことなら、請求の範囲では「弾性部材」とし、詳細な説明で「コイルばね」を用いた実施の形態(実施例)を示し、「コイルばねは本発明の構成要件である弾性部材に相当する。なお弾性部材としてコイルばねの代わりに板ばねやスポンジを用いても良い」と書いた方がすっきりします。

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強く書こう (1)
 「強く書こう」では審査官などが言ってくる拒絶理由に対して反論が容易な書き方や、反論の仕方を紹介します。

 これは被害妄想かもしれませんが、私は、審査官が「拒絶理由通知を読んだだけで出願人が反論(意見書の提出)を諦めて欲しい」と思っている気がしてなりません。何しろ審査官は忙しく、意見書や手続補正書を出願人が提出すると、また審査をしなければなりません。出願人が反論を諦めればその分、楽になります。

 そのために「進歩性なし」だけでなく、色々な拒絶理由(特に「記載不備」)をつけたがっているように思えます。だからここでは、審査官がそんな気をなくすような書類の書き方を紹介していきます。

 私は出願を特許事務所に頼むことをお勧めするので、記載不備については心配する必要はないと思います。しかし個人で出願する場合や、特許事務所に頼んでも担当者がうっかりする可能性があるので、念のために「記載不備だ」と言われない記載、言われたとしても解消できる記載を紹介します。

 よく見かける記載不備は、「請求の範囲と【発明の詳細な説明】の対応ができていない」というものです。具体的には「請求項1にはA手段という構成が記載されているが、これが『発明の詳細な説明』中のどの構成に対応するのか不明である」というものです。

 これを防ぐには、請求の範囲に書いた構成要件が、詳細な説明中のどの構成や処理に対応するかを明示しておくことです。私は、その構成や処理が詳細な説明に出てくる都度、構成要件との対応を示すのではなく、「発明の実施の形態」の後の方にまとめて書くことをお勧めします。

 例えば、請求の範囲が

【請求項1】 Aと、Bとを備えたことを特徴とするX装置。
【請求項2】 Cを備えたことを特徴とする請求項1に記載のX装置。

となっていた場合、詳細な説明のどこか(後の方がお勧め)に
「ここで本発明の構成要件と実施の形態の構成の対応関係を示す。Aは○○に相当し、Bは△△に相当し、Cは××に相当する。」
等と書いておくのです。箇条書きにしても良いでしょう。

 そうすれば審査官は「対応関係については明示されているのか」と思って、この拒絶理由を通知するのを諦めるでしょう。また、まとめておけば挙げ漏らしがないかのチェックも容易ですし、構成要件を増減させるときも簡単です。

コーヒーブレイク
 前回までの「広く書こう」シリーズに続いて「強く書こう」に行きたいのですが、ここで一休みをして、今まで使ってきた主な用語について説明します。


特許
 この業界で「特許」と言えば、特許庁の審査をパスしたものを言います。ときどき出願しただけで「私の特許だ」という人がいますが、これは頭の固い業界人が聞いたら滑稽に聞こえます。大学受験に例えると、願書を提出しただけで「合格した」といっているようなものですから。また「特許する」といえば「特許庁が特許査定をする」という意味で使います。審査をパスすると特許公報という官報が発行されます。以前に紹介した特許電子図書館でも見ることができます。


発明者と出願人
 「発明者」は発明をした人で、名誉の主体になります。「出願人」は権利の主体です。個人発明家の出願なら普通、発明者と出願人が一致します。企業の技術者などが職務で発明した場合、技術者が発明者、勤務先が出願人になる場合が多いです。だから発明をした名誉は技術者のもの、特許権は勤務先のものとなります。当ブログでは発明者と出願人と区別が問題になる話題を今まで扱っていないので、発明者・出願人の使い分けに深い意味は有りません。


公開
 特許出願をすると約1年半でその内容が公開特許公報として発行されます。公開特許公報を簡単に公開ともいいます。公開番号と言う固有番号が付けられ、H11-XXXXXXとか2005-YYYYYYなどと指定することにより特許電子図書館で見ることができます(Hは平成のこと)。
 まれに公開の前に特許公報が発行された等の理由により公開が発行されないこともありますが、ほとんどの場合、特許には3つの番号が与えられることになります。まず出願時に出願番号(略して願番)。出願から1年半後に公開番号、登録時に特許番号。
 もちろん審査をパスできなければ特許番号は無しです。どれか一つの番号が分かれば、特許電子図書館の「特許・実用新案文献番号索引照会」で他の番号を知ることができます。


特許料
 当ブログではこの語はでてきていませんが、実体はでてきました。発明から特許取得までの流れで出てきた、特許査定後に特許庁に収める「所定の金額」がこれです。
 つまり「出願人などが特許権を発生させたり維持したりするために特許庁に払う料金」のことです。マスコミなどで「特許を侵害したり実施したりした者が特許権者に払う金」という意味で用いらることがありますが、これは誤用です。


クレーム
 この語も当ブログではでてきていませんが、実体はでてきました。特許請求の範囲のことです。「苦情」と誤解されないように当ブログではこれからも使わない予定です。その代わりというのも変ですが、当ブログでは原則として実用新案を扱わないので「特許請求の範囲」といわずに「請求の範囲」と表現しています。



広く書こう (6)
 審査請求をしても拒絶理由通知が来ない場合を考えましょう(ここでは拒絶理由として「進歩性なし」と、これに類する「新規性なし」「先願あり」について考えます)。 拒絶理由がない場合、拒絶理由通知の代わりに特許査定の謄本が届きます。これが届けば、あとは「所定の金額」を払うだけで特許を取得できます。大学受験に例えれば現役合格したようなものですから、めでたしめでたしと言いたいところですが、はたしてそうでしょうか。

 拒絶理由通知が来なかったということは、請求項が全て、前回示した図の破線の楕円(以下、破線円)の中にあったということになります。

 最も広いのが請求項1だったとします。この請求項1が破線円に近ければいいのですが、破線円より遥かに小さかった場合、請求の範囲を十分に広く書いていなかったことになります。すると、誰かが請求項1と破線円の隙間にある抜け道を狙って実施するかもしれません。つまり貴方の特許権を侵害することなく貴方の特許の旨味を得てしまうのです。

 では拒絶理由通知が来た場合はどうか。この場合は、請求の範囲が十分ひろく書かれていたことになります。これなら抜け道を発見されても「あそこまで広げたら特許性(進歩性)がなくなるのだから仕方がない」と諦めが付きます。

 「広くしつつ特許を取得せよ」は無いものねだりなのでご遠慮ください。何度もいうように、請求の範囲の広さは抜け道の少なさと直結します・だから、請求の範囲の広さこそが特許事務所の仕事のクオリティだと信じています。「さも難しそうな書類を書くこと」でも「誤字の少なさ」でもないのです。

 拒絶理由通知が来ることなく特許査定の謄本が届いて、喜ぶお客さんが時々いますが、特許事務所は冷や汗ものです。なにしろ「広く書くのを怠ったのでは?」とお客さんから非難されても仕方ないのですから。

 ですから前にも言ったように、拒絶理由通知は来た方がいいのです。発明から特許取得までの流れで、拒絶理由通知が来るパターンを示した理由もこれです。問題になるのは、通知された拒絶理由を解消できないことです。

広く書こう (5)
 一つの発明を、広さの異なる複数の請求項に分けて書くと、前回いったように、広い権利範囲と進歩性の高さの両方を狙うことができます。ただしあくまでも「狙い」であって、双方を取得することは難しいです(前回の図を参照)。

下図は、前回の「READ MORE」に書いた請求の範囲の各請求項の広さを模式的に表したものです。

20070914155602.gif


 このうち、破線で表したのが特許を取得できるレベル(≒広さ、進歩性の度合い)です。この破線の内側にあるものが特許を取得できるということです。ですから請求項1、2は特許取得できないけれど、請求項3~5はできます。

 この請求の範囲の特許出願を審査請求をすると、「請求項1、2は進歩性が無いから特許できない」という拒絶理由通知が届きます。この場合、手続補正書により請求項1と2を削除すれば、特許を取得できます。

 つまり、広さを上記のように請求項ごとに変えて出願すれば、理想に近い広さの特許権を取得できるのです。請求項3を破線の楕円ぎりぎりまで広げたいところですが、これはかなり難しいです。どこまで特許性が認められるかは誰にも分かりません。審査時の審査官の機嫌が悪いと請求項3も「進歩性が無い」と言われるかもしれないし、運がいいと請求項2も進歩性があると認定されるかもしれません。

 「手続補正書で請求の範囲を補正できるなら、最初は狭く書いておいて、あとで破線まで請求の範囲を広げればいい。そうすれば出願前に請求の範囲を広くする努力をしなくてもすむ」という人がいるかもしれませんが、これはお勧めできません。

 補正により請求の範囲を広げるのは拒絶理由(不適法な補正)です。気まぐれにこうした補正を認める審査官もいるようですが、こうした補正を受けた請求の範囲が特許を取得すると、のちのちトラブルになります。なにしろこの補正は、拒絶理由なだけではなく無効理由でもあるからです。つまり特許取得した後にその特許権が無効にされてしまうのです。
 
 商業的な価値が高い請求の範囲ほど、こうして無効にされる確率は高いでしょう。だから請求の範囲を広く書くチャンスは出願前にしかないのです。

[READ MORE...]
広く書こう (4)
今回は、請求の範囲の広さと進歩性の関係を見てみます。

前々回挙げた次の請求の範囲を再度しめします。

【請求項1】 Aと、Bとを備えたことを特徴とするX装置。
【請求項2】 Cを備えたことを特徴とする請求項1に記載のX装置。

進歩性の有無は請求項ごとに通知されるので、上記請求項が共に進歩性を持つためには、請求項がいずれも未解決の課題を解決するもの(効果を持つもの)でなければなりません。

請求項1、2の効果は例えば次のようになります。

《請求項1の効果》 AとBとを備えているので、αという効果がある。
《請求項2の効果》 AとBとを備えているので、αという効果がある。これに加え、Cを備えているので、βという効果もある。

 ここで注意していただきたいのは、効果βは、Cがあって初めていえるものだということです。請求項1では、Cは構成要件ではないので、あるとは限らないCによる「効果β」を主張することはできません。

 それでも主張できるとすれば、Cはなくてもいいことになり、請求項2は請求項1をわざわざ狭くするために作ったことになってしまいます。

 さて、請求項2は、請求項1にはない効果βもあるということは、請求項1よりも進歩性が高い可能性が大きいです。つまり狭い請求項ほど進歩性が高いと言えそうです。

 今まで説明したことをまとめると下図のようになります。

20070913104305.gif



 この図は 非常に重要 なので心に留めておいてください。

 「効果」が充実しているほど「進歩性の確保」が容易になるのは今説明した通りです。また請求の範囲が広いほど「抜け道」が少なくなるのは前々回説明しました。「記載」に上位概念語を用いると、請求の範囲が広くなる反面、あいまいになる可能性があるのは前回の説明です。

 ここで困ったことがあります。進歩性を確保しようとすると、請求の範囲が狭くなってしまうことです。請求の範囲を広くすると、進歩性の確保が難しくなります。どうすればいいか。

 答えは「両方書く」です。請求の範囲は、複数の請求項に分けて書くことができます。だから請求項1に、進歩性の確保が難しそうだけど広いものを書き、請求項2に、狭いけれど進歩性を確保しやすいものを書くのです。

[READ MORE...]
広く書こう (3)
 請求の範囲を広くするコツとしては、

 ・発明品を効果ごとに分けること

 ・細部は一旦わすれること

 ・請求の範囲(案)の抜け道を探すこと


が挙げられます。

 (個人発明家のレベルからは少し離れますが)貴方が掃除機を発明したとしましょう。この掃除機は、今までに無くパワフルで、吸い込んだゴミの処理が簡単で、しかもコードを確実に巻き取ることができるとしましょう。

 これら3つの効果は、一つの掃除機が持つものではあるものの、互いに全く関係の無いものです。効果も構成要件と同様、たくさん書くとその分、抜け道が増えます。ですからこの場合、「パワフルな掃除機」と、「吸い込んだゴミの処理が簡単な掃除機」と、「コードを確実に巻き取ることができる掃除機」に分けましょう。こうすることにより、広い請求の範囲を書くことができます。(こうした場合は、3つの出願に分けることをお勧めします)

 次に「細部は一旦わすれる」ですが、この「細部」としては、材質、基本発明を商品化するために更に施した改良点などが挙げられます、ただし材質自体を発明した場合は、細部ではないので忘れるわけにはいきませんが、材質の発明は難しいのでレアケースでしょう。

 また、商品化の際には安全性を考慮したり、歩留まりを上げたりするために様々な配慮や改良を施すはずですが、これらのことは忘れましょう。そして最低限の効果とそれを実現するための構成を取り出しましょう。これが前々回いったエッセンスです。

 こうして一旦、請求の範囲(案)を作成したら、その抜け道を探してみましょう。発明品と競合する他社の立場に立って、請求の範囲(案)を読むのです。簡単に抜け道が見つかるようなら、その道を塞ぐことができないかを検討しましょう。抜け道の探し方は前々回の記事を参考にしてください。

広く書こう (2)
請求の範囲を広く書く他の方法として上位概念語の使用があります。

 上位概念語とは、「コイルばね」という語に対してそれを包括する「弾性部材」のような語のことです。コイルばねといえば蔓が巻いたような形状のばねですが、「弾性部材」なら、それ以外の構成(例えば板ばね、スポンジ状のもの等)も含まれそうなので「コイルばね」と書くよりも広いと言うわけです。

 「ハードディスク装置」に対する「記憶装置」、「液晶ディスプレイ」に対する「画像表示装置」も上位概念語です。「画像表示装置」の更なる上位概念語として「出力装置」という語も考えられます。
 上位概念語を使うことを上位概念化といいます。逆に「コイルばね」を「弾性部材」の外延といいます。

 注意点としては、本来の物の作用に応じて上位概念語も変化することです。例えば「コイルばね」の伸び縮みする特性を利用するなら「弾性部材」でいいのですが、カムフォロワをカムに押さえつけるために「コイルばね」を用いるなら「付勢部材」などの上位概念語を使うべきです。

 また、その上位概念語が何を示すのかが分かり難くなる点も注意です。分かり難いと審査官が感じると、「当業者が実施をすることができる程度に書かれていない」という拒絶理由が付けられてしまいます。

 これを防ぐために、明細書には、その語の外延をいくつか書いておきましょう。例えば「『弾性部材』とはコイルばね、板ばね、スポンジ、ゴムを指す。」と書いておきます。貴方の発明において弾性部材の概念がもっと広いなら更に付け加えましょう。逆に「スポンジは要らない」というならスポンジを書く必要はありません。

 上位概念語を使う意義を模式的に示します。

 仮に弾性部材として【発明の実施の形態】に「コイルばね」しか書いていなかった場合、「弾性部材」の解釈は次のようになるでしょう。

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 発明者や出願人は実線の楕円くらいの広さのつもりで書いていても、審査官にしたら破線の楕円くらいの広さにしか解釈してくれない可能性があります。まだこれは良い方で、同業他社にしてみれば「コイルばね=弾性部材だ」つまり破線の楕円はコイルばねの青い楕円にぴったり重なると言うでしょう。

 弾性部材の外延として「コイルばね」と「板ばね」を示した場合はどうなるか。 板ばねを明示した以上、同業他社といえども「板ばねも弾性部材である」と認めざるを得ません。また、コイルばねと板ばねが弾性部材なので、それらの中間に位置する物(そんな物があるかどうか不明ですが)も弾性部材」となります。 だから弾性部材は下図のような広さになるでしょう、

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 破線の楕円が広くなりましたが、まだ実線との間にはかなりギャップがあります。弾性部材の外延として更に「スポンジ」も加えると下図のようになります。

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 実線と破線の間がかなり狭まりました。だから外延は、互いにできるだけかけ離れた物をたくさん挙げた方が良いです。そうすれば破線の楕円が大きくなり、実線の楕円に近くなります。ただし、どの外延を用いても所期の課題を解決できる必要があります。

広く書こう (1)
請求の範囲は特許の心臓部です。請求の範囲は、よく次のような書き方をします。

【請求項1】 Aと、Bと、Cと、Dと、Eとを備えたことを特徴とするX装置。

 これが特許を取得しているとして、この抜け道を探してみましょう。上記請求の範囲は「私が発明したX装置を実現するためには、最低限、A、B、C、D、Eの5品が必要だ」という意味です。これらA、B、C、D、Eを構成要件と呼びます。

 ですからA、B、C、D、Eの内、どれか一つでも欠けていれば「上記発明ではない」ということになります。これが抜け道の一つです。上記発明でなければ、出願人の許可を得ることなく実施できます。これでは特許を取得した意味がありません。

 上記請求の範囲で構成要件は5品でしたが、これが多いほど抜け道も多いことになります。欠ける品は一つとは限りませんから、構成要件が多くなるほど飛躍的に抜け道は多くなります。


 次のような請求の範囲もあります。

【請求項1】 条件αが成立したときに、処理Fを実行することを特徴とするY装置。

 これの抜け道も探してみましょう。「条件αが成立したときに処理Fを実行しないもの」は上記Y装置ではないことになります。 また、「条件αの成立・不成立に関わり無く処理Fを実行するもの」も上記Y装置ではないことになります。 これらも抜け道です。


 以上を簡単に言えば、

請求の範囲が複雑なほど抜け道が多くなる

ということです。抜け道があれば特許の価値が低下します。


次に広さについて見てみます。以下の2つの発明を比較しましょう。

【請求項1】 Aと、Bとを備えたことを特徴とするX装置。
【請求項2】 Cを備えたことを特徴とする請求項1に記載のX装置。

請求項2は「Aと、Bと、Cとを備えたことを特徴とするX装置。」と同じことです。請求項1と請求項2、どちらが広いでしょうか。
 うっかりすると、A、B、Cの三つがあるから請求項2の方が広いと答えてしまいそうですが、逆です。下図のようにするとよく分かります。

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「Aと、Bとを備えたことを特徴とするX装置(請求項1)」でカバーできるのは緑の部分赤の部分です。これに対し、「Aと、Bと、Cとを備えたことを特徴とするX装置(請求項2)」でカバーできるのは上図の赤の部分のみです。つまり請求項1の方が広いのです。

 なぜこうなるのかというと、「AとBとを備えた」は「AとB以外のものを備えていない」という意味ではなく、「AとB以外のものは備えていてもいなくても構わない」という意味だからです。AとB以外のものとしてCを備えているのが上記請求項2です。

 都合のいいことに、これは上記した抜け道の少なさと整合します。つまり、広い特許は抜け道も少ないことになります。

以上をまとめると

請求の範囲はシンプルなほど広い。

 広い特許は抜け道が少ない。


となります。だから請求の範囲は、シンプルに書くべきなのです。

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強大な特許出願
今日からは、今までの説明で抜けていた部分を話します。

 どこが抜けていたか。「進歩性とは」では、特許として登録されるために最も重要な点を説明しました。「発明をしよう」では、儲かる発明の話をしました。

 実は、儲かりそうな発明の特許を取得するだけでは、一攫千金は難しいのです。なぜなら、こうした発明が特許登録されると、多くのメーカーは、ロイヤリティを払うことなく実施しようとするからです。

 具体的には、その特許の請求の範囲の抜け道を探し出し、その特許の美味しい部分であるエッセンスのみを実施しようとするのです。

「ならば、そのエッセンスを請求の範囲に

 書いておけばいいではないか」


 その通りです。ところが、エッセンスを書かせたがらない発明者がいるのです。エッセンスだけの請求の範囲はシンプルで、スカスカの印象があります。こうした請求の範囲を発明者が嫌う場合があります。

 発明者は、その発明品に関してはエキスパートですが、特許に関しては一般に素人です。一方、特許事務所の担当者は、特許の明細書や意見書を通じて特許庁とバトルを繰り返してきた専門家です。

 素人である発明者の言うことに従っていたら、抜け道だらけの請求の範囲になりかねませんし、現になっています。ヒット商品が出るとその類似商品が現れる原因の一がここにあります。

 また「進歩性さえ確保すれば特許を取得できる」と言いましたが、特許庁が意地悪な認定をして登録を邪魔することがあります。例えば「刊行物に記載がないと出願人が主張している構成は、設計変更程度のことだ」とか「進歩性はありそうだが記載が不明りょうだ」とか、特許庁が言い出すのです。

 これは被害妄想かもしれませんが、個人発明家や零細企業ほど、この意地悪を受けるような気がします。(これについては、またいずれ根拠を挙げつつ説明したいと思います。)

 こうした特許庁の意地悪に耐えられる強さと、抜け道を見つけられないほどの広さ(大きさ)をこめて、タイトルを「強大な特許出願」としました。

 「抜け道と広さの関係が分からない」と言う人もいるでしょうから、次回はこれについて説明します。

発明をしよう (5)
前回しめしたフローチャートで、冬物を着られるかどうか判断する部分を別処理(「冬物処理」としましょう)にしてみましょう。

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 ついでに、古着屋さんに売れない状態(穴が開いている等)のときは捨てるように処理を改めました。「捨てずに端切れにしてとっておく」という人は図を改めてください。

 このように別処理にすると、複雑な手順もコンパクトになり、見通しが良くなります。別処理のことをサブルーチン、別処理を呼び出す方をメインルーチンと呼びます。サブルーチンが更に別のサブルーチンを呼び出すこともあります。

 サブルーチンを呼ぶ場合は、上図左のように、左右に縦棒が入った箱を使い、その中にサブルーチン名を入れます。呼び出される方は、最初の長円形の中にサブルーチン名を入れます。そして最後の長円形の中に終了ではなくリターンと入れます。これは呼び出された処理(メインルーチンなど)に戻るという意味です。

 さて、進歩性で「従来技術にない構成と、それによる課題の解決」が重要といいましたが、ソフトウェア発明の場合はどうなるのか。「課題の解決」はともかく、ブロック図がほぼ共通なら「従来技術にない構成」はないようにも見えます。

 ソフトウェア発明の場合は、処理を構成として扱うことができます。つまり、従来ない処理を行えばいいのです。処理としては、フローチャート全体でも良いし、フローチャートに使われている箱でも構いません。だから、フローチャート中のたった1個の箱が、進歩性の根拠という場合もあるのです。

 こうしてみると、発明の中でもソフトウェア発明はかなり楽だといえます。ブロック図は前々回に示したもののかなりの部分を流用できるし、試作も必要ありません。

 「そうは言っても、現場で開発や設計をしている技術者にはかなわないだろう」というご意見もありそうです。ここで重要になるのは想像力です。創造力では技術者にかなわないでしょうが想像力では勝てる可能性があります。

 もしこんな製品があったら、こういう問題点が発生するのではないか、その問題点を解決するには、こうすればいいのではないか、付随してこんなアイデアを採用すれば一層便利になるのではないか、といったことを想像するのです。この発明法は、ソフトウェアに限りませんが、ソフトウェアならば上記のように比較的簡単に出願に必要な図面を作成できます。

創造力よりも想像力で勝負

 これを心にきざんで、思索に励みましょう。

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発明をしよう (4)
今回はフローチャート(フロー図ともいう)についてです。

フローチャートなんて書いたことない

私には書けっこない


という人も心配ありません。そんなに複雑なものを書く必要はないのです。私自身、エクセルのマクロをときどき書くぐらいです。そんな私でも在職中は多数のフローチャートを書いていましたし、ちゃんと特許として登録されました。

 ここでは練習として、少し早いですが「衣替え」のフローチャートを書いてみましょう。(「衣替えで特許を取れる」と言っている訳ではありません。あくまでフローチャートを書く練習です。)

 衣替えとして、まず今まで来ていた夏物をクリーニングに出し、代わりに冬物や秋物をタンスなどから出すことにしましょう。そしてクリーニングから返ってきた夏物をタンスにしまいます。実際にはもっと色々することがあるでしょうが、とりあえず今はここまでにします。

 これをフローチャートにすると、例えば下図のようになります。

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 どうです? 上で説明したことを、幾つかの手順に分けて要約し、箱に入れて繋いだという感じではありませんか。手順の分け方や要約の仕方はこの他にもあるでしょうが、大同小異でしょう。特許として登録されている発明の中にも、この程度のフローチャートが示されているものが珍しくありません。

 処理(手順)の最初と最後は、長円形の箱をつけます。最初の長円形には処理全体の名前(ここでは衣替え)を、最後の長円形には「終わり」とか「終了」とか「END」とか書きます。

 手順をもう少し複雑にしてみましょう。タンスから出した冬物や秋物が、流行遅れだったりサイズが合わなかったりして着られない場合を考慮しましょう。場合分けをする際には次のような箱を使います。

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 このソロバン玉のような箱の中に条件を書いて、YESかNOかで処理を分けます。ここでは、着られなくなった服を古着屋に売ることにしましょう。

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 かなりフローチャートらしくなりました。着られない場合(NO)は「古着屋に売る」に進み、着られる場合(YES)は「古着屋に売る」を跳ばす(つまり、古着屋に売らない)という処理の流れが示されています。

 手順を全て書いたら、あとは各箱にS1,S2,・・・などと数字を付けて、明細書で「S1で夏物をクリーニングに出す。次のS2で冬物や秋物をタンスから出す。次のS3で・・・」などと説明すればいいのです。

 忘れてはいけないことは、このフローチャートは何によって実行されるか(大抵は、前回かいたブロック図のCPU。その他、操作者が行う手順をフローチャート化したものもあります。「衣替え」はまさにこれです)を書くことと、いつ実行されるのか(ある条件が成立したときか、一定時間間隔で定期的に実行されるのか等)を書くことです。

 以上が、フローチャートの基礎です。基礎とはいえ、これらの知識で、殆どの処理を書くことができるでしょう。

 次回はフローチャートの補足と、進歩性との関連についてふれる予定です。

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発明をしよう (3)
前回、携帯電話や音楽プレーヤーに関する発明をすることをお勧めしましたが、特に、それらに用いられるソフトウェアの発明をお勧めします。

 「ソフトウェアなんて難しい」とお思いかもしれませんが、さにあらず。コンピュータが処理(実行)可能に書くなら難しいですが、その必要はないのです。「こういう処理をすれば、確かにこの課題を解決できる」ということが分かる程度に書けばいいのです。

 それにソフトウェア発明には利点があるのです。まず前回、パチンコ関連の発明でも言った、機種依存にあいにくいという利点があります。そのソフトウェアによって実現される機能が優れていれば、次モデルにもその機能は踏襲されるでしょう。

 また、ソフトウェアといえばコンピュータが実行することにより機能が発揮されますが、このコンピュータシステムのブロック図は、どのシステムでも基本は同じなのです。下図はその一例です、

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 詳しく書けば、メモリはRAMやROM等がある、バスはデータバス、コントロールバス、アドレスバスに分けられる、入力装置はキーボード、マウス、タブレット等がある・・・etcと、きりがないですが、基本は上図のようになっています。特許出願する際には通常、図面を添付しますが、その図面の1枚として、上図を手直しすれば提出できるのです。一回こうした図を描いておけば、他のソフトウェア発明にも流用できます。

 上図で表現できないのは、複数のCPUで分散処理を行う発明ぐらいです。注意するとすれば、通信関連の発明は、外部記憶装置に替えて(または加えて)モデム等にすべきでしょう。

 また、各構成には適切に符号を付けて、明細書中で「CPU7では様々なプログラムを実行する」とか「メモリ16にデータを格納する」等と説明をしましょう。また、入力装置に特徴がある発明では、その入力装置をキーボード、マウスなどと細分化すべきです。出力装置等も同様です。

 これらは「技術」というよりも「性格がマメか否か」に近いです。分からなければコンピュータに詳しい知人にきいたり、特許庁のHPにある特許登録公報を参考にしたりしましょう。しかも、以上説明したことは、出願書類を作成する段階で必要なのであって、発明の段階では不要な場合が多いです。

 次回は、ソフトウェア発明に欠かせないフローチャートについて説明します。

発明をしよう (2)
当ブログでは、特許をメーカーに実施してもらって、そのロイヤリティをもらうのを目的とします。「特許を自ら商品化して、大もうけする」というのはお勧めしません(理由は改めて説明します)。

この方針で一攫千金を狙うには、その商品は数多く売れることが望ましいです。販売数が少ないものだと、ロイヤリティを高くしないと一攫千金になりません。そうなるとメーカーが実施を取りやめる危険が出てきます。だから薄利多売でいきましょう。

そうすると何がいいか。お勧めは

 ・携帯電話
 ・携帯音楽プレーヤー
 ・テレビ(またはその録画関連)

です。これらなら身近にあるし、不満・問題点も見つけやすいでしょう。これらの商品そのものを発明するのではなく、商品に適用できる技術や工夫を発明するのです。いずれも千万単位で売れるので1つ当れば大きいです。

 これら以外で挙げるとすればパチンコ・パチスロ機でしょうか。これらは商品サイクルが短いので、期間あたりの販売数が大きいです。機種に依存しないアイデアを発明するという注意は必要ですが。
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