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Author:めざ特
某大学を卒業後、超有名メーカーに就職。
数年後、某特許事務所に転職。
10年以上、特許明細書、意見書などの作成業務に従事した後、退所。
現在に至る。

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先願調査は必要か
 特許出願に関する本を見ると、「出願前に先願調査をしましょう」とよく書いてある。類似発明が既に出願されていれば権利化は困難だ。そこで、類似出願がされていないかを調査すれば、無駄な出願をしなくてすむという訳だ。だが私は先願調査に消極的だ。それは次の理由による。

1.「先願あり」に対しては無力
2.「進歩性なし」に対しても完璧な調査は不可能。
3.余計な時間とお金が掛かる

 まず1。 先願調査は、特許庁にされた特許出願、実用新案出願の内、公開公報などが出ているものが対象となる。だから約1年半以内に類似した発明が特許出願されていても、これは公開される前なので、見つけることはできない。つまり、「先願あり」に対して先願調査は無力なのだ。

 次に2。 では「進歩性なし」や「新規性なし」については有効かと言うと、これも疑問だ。これらが拒絶理由通知で通知される際には、その発明に類似した技術が出願前に周知だったことを示す文献(引用文献)が示される。引用文献としては特許の公開公報が示されることが多い。だから先願調査をして、本発明によく似た公開公報が見つからなければ審査が有利になるようにも思える。
 しかし、引用文献は、特許庁の公報でなくてもよいのだ。こうした文献は調査対象ではないから、探し出すことができない。また、文献でなくても、既に類似品(発明品そのものを含む)が世界のどこかで発売済みであるとか、発表済みの場合も進歩性を確保するのは難しい。こうした事態も調査の対象外だ。
 それに、先願調査の手数料は安いので、特許事務所は、調査した発明を出願してほしい。だから調査結果に対して特許事務所は楽天的になりがちだ。先願が見つからなかった場合は当然だが、見つかっても発明品とのわずかな差を見出して「権利化は可能だ」と判定するケースが多いだろう。

 そして3。 先願調査には、それなりに時間もお金も掛かる。だからクライアントは「余分に調査費を掛けたのだから」と余計な期待をかけてしまう。にもかかわらず、上記したようにそれほどアテにならない。レアケースだが、調査をしている間に、先願が出願されてしまったり、公開されてしまう可能性もある。

 だから先願調査は不要だと私は思う。それより1日でも早く出願しよう。調査に意味があるとすれば、ありふれた発明を出願したがる発明者を説得する場合くらいだろうか。

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私の特許
 「特許事務所の人間には、発明者の気持ちなんて分かるまい」という人がいるかもしれない。だが、明細書を作成した以上、よほどしょうもない発明でない限り、その発明には思い入れがあるし、審査官から不当な拒絶理由を通知されると腹が立つ。

 それに、私自身も発明をして、出願した経験がある。プロフィールに書いた超有名メーカーの社員だったころに出願した発明もあるが、特許事務所に入ってからしたものもある。残念ながら出願人は私ではないので「私の特許」というのは変なのだが。内容は当ブログでも推奨したソフトウェア発明だ。

 普段の業務と同様、その発明の明細書は私が書き、拒絶理由通知への対応も私がした。このときに書いた意見書の主張は認められず、拒絶査定になったが、審判を請求し、なんとか登録された。「超有名メーカー」でした発明は課の全員が発明者になっていたが、コチラは私だけだ。分割出願もされており、私だけが発明者になっている特許が増える見込みだ。自分が生きていた証拠が「特許」という形で半永久的に残るかと思うと感慨深い。

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